参章 雪童子と友人

66/128
前へ
/507ページ
次へ
言い換えるとつまり、そんなにも前から富岡くんはたくさんの人間と関わっては別れてきということ。だれの記憶に残ることもなく、人間の世界に人間として振舞って過ごしてきたということだ。  「今度は人間夫婦の養子になったと妖の便りで聞きましたが。そうですか、ご学友でありましたか」  「雪童子が溶けてしまわない方法はないの……?」  「そればかりはどうしようもないんですよ。雪童子はそういう生き物ですからね。人が成長していくのと同じように、雪童子にとっては溶けて生まれ直すことが当たり前なんです」  ふくりも同じことを言ってたな、とぼんやり考える。  そういうものなんだろうか。やはり妖と人は違うのだろうか。富岡くんは私と同じように勉強もするし、体育にだってでる。サッカーが得意なクラスの人気者で、大切な友達もいる。  私と同じなのに。
/507ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1310人が本棚に入れています
本棚に追加