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社務所へ入ると三門さんと健一さんの姿があった。気まずくてそっと目を反らすと「こっちにおいで」と三門さんが柔らかい声で私を招く。恐る恐る傍に腰を下ろすと、頭にぽんと手が乗せられる。
「蛍助くんと話せた?」
首を振った私に三門さんが低い声で謝る。いつもそうだ、三門さんが悪いわけではないのに。私が勝手に突っ走っているだけなのに。
「麻ちゃんと同級生なんだっけ、あいつ」
寝転がっていた健一さんが「よっ」と起き上がり尋ねる。俯くように頷いた。
「麻ちゃんにはちゃんと話しとくべきだったね」
「さっき子泣き爺から、人間の夫婦の養子になったって……」
「はは、ほんとに噂好きの爺だね」
三門さんは苦笑いで頬を掻いた。
「長くなるよ」
構いません、と頷くと三門さんはゆっくりと口を開いた────。
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