参章 雪童子と友人

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 これまでに、と言うのは歴代の松野家で不思議な力を授かった人たちのことを言っているのだろう。  「でも、私は三門さんと同じ言霊の力ですよ」  「いや、ちがうな。麻ちゃんのそれは言霊の力の一部じゃない。兄貴が言霊の力と物見の力の二つを持っているのと同じように、麻ちゃんも言霊の力とは違ったもうひとつの力を持っているんだ。その力は授力つって────」  「健一さん」  三門さんが口を挟む。健一さんはガシガシと頭をかいて息を吐いた。  「おい三門、お前知っててなんでそれを先に言わないんだよ。この様子じゃ麻ちゃんにですらろくに教えてなかったんだろ? てか、まず松野の力を継いでいる人間がいる時点で本庁に知らせるべきだったんだよ」  「でも、麻ちゃんはこっちの世界身を置くと決めたわけではないですし」  「んなの言い訳だろ。ったく、ただでさえ若いのが足りないって時に」  文句をこぼし始めた健一さんは苛立ったようにガシガシと頭をかいた。三門さんは言い返すこともなく、困ったように目を伏せている。  空気が悪くなり始めているのを感じ取って、急いで違った話題を探す。
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