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「そ、そう言えば健一さんっていつまでここにいるんですか?」
「んあ?」
「だって、賀茂くんのことでこっちに戻ってきたんですよね? あの時の件はもう解決してますし」
健一さんが来る少し前に解決している今、健一さんがここに長くとどまる理由はないはずだ。しかも年中無休で“本庁”にこき使われているとぼやいていたのも聞いている。忙しいはずなのにここへ来てから数日たったものの、実家に帰るくらいしか外に出ず、居間でゴロゴロしている姿を見る方が多かった。
「いつまでいるのかって、そりゃ俺にさっさと出て行ってほしいみたいに聞こえるなあ」
「いやっ、そんな、私は別に」
慌てて両手を前で振ると、意地悪い笑みを浮かべた健一さんがクスクスと笑う。そこでからかわれていることに気が付いてむっと唇を尖らせた。
「悪いな、三門とふたりきりのスウィートハウスに邪魔して。でももうしばらく我慢してくれよ。ぐうたらしているように見えて、これでも本庁から任された仕事をこなしている最中だ」
「だから、私は別にそういう訳じゃないです!」
「はは、照れんな照れんな。お年頃だからな、そう言う男のひとりやふたり」
顔を真っ赤にして声をあげ、やっと口を閉じた健一さん。やっと落ち着いて食事がとれる、とぐったりしながら端に手を伸ばす。
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