参章 雪童子と友人

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 雪ちゃんの言葉が胸に刺さった。  『蛍ちゃんは、蛍ちゃんなのに』  その通りだ。  富岡くんは富岡くんだ。妖であろうと、雪わらじであろうと、雪ちゃんにとっては唯一無二の幼馴染だ。でも、でも。  「……ねえ、雪ちゃん」  駄目だ。駄目だってわかっているのに。  もし本当のことを話したところで、雪ちゃんに信じてもらえるかどうかは分からない。信じてもらえたとしても、雪ちゃんや富岡くんを悲しませる結果になるかもしれない。  でも、もしかしたら。  「私、富岡くんがどこにいるのか、どういう状況なのか知ってるの」  雪ちゃんの目が大きく見開かれる。雪ちゃんよりも先に詩子が私に詰め寄った。  「どういうこと!? どうして麻が知って……」  言葉を不自然に止めた詩子はなんとなく勘付いたらしい。  雪ちゃんが私の目をじっと見つめ返した。疑うようにその奥の瞳が揺れている。  もしかしたら何かが変わるかもしれない、そう思ったのだ。  「雪ちゃんは、富岡くんがどんな姿でも信じてあげられる?」  揺れていた瞳が強く私を見据えた。  「────蛍ちゃんは、蛍ちゃんだよ」
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