参章 雪童子と友人

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 息苦しそうに眠りに就く富岡くんの傍に腰を下ろした。額には珠の汗が流れている。  今朝、私を呼び止めた健一さんの言葉をゆっくりと思い出す。  コントロールできるようになったから見られなくなったってことじゃない、コントロールをしているから見なくなっただけだ。  健一さんはただそう言った。その時は意味が分からなかったけれど、一日考えて、それはつまり見ようと思えば見ることができるということなのだと気が付いた。  私が願えば、見ることができるのだ。知ることができる。そう言うことだったのだ。  私は静かに目を瞑って、  ────教えてほしい。富岡くんのこと。本当の気持ち、考えていること。もしも私たちと同じなら、きっと一緒に解決方法を探すから。  そう強く願った。
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