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「おーい、ちび」
ヒトの世界では昼餉の少し後、妖たちはすっかり眠りに就いている時刻に少年はやってきた。布団の中ですよすよと眠る蛍雪に代わって六花が戸を開けた。
「あ、ちびの兄ちゃんだ」
「こんにちは、どうしたの?」
「ちび、いる?」
六花と少年の話し声に、蛍雪は布団から抜け出した。眠気眼を擦りながら六花の背中から顔を出す。
「あ、やっぱりいたんじゃん。おいチビ、遊びに行くぞ!」
「あそぶ……?」
「おいおい、まだ寝ぼけてんのか? 寝坊助め、もう昼間だぞ!」
六花の横をすり抜け蛍雪の手を取った少年は、勢いよく駆け出した。
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