伍章 三匹の神使 中編

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 鳥居があったから神社で間違いはないはずだ。けれど、どうしてこんなところに神社があるんだろう。  人気もなく、手入れもされていないようだった。鳥居の柱が半分ほど腐っていた。朱い塗装もはがれていたし、この階段も長い間誰も通って来なかったのか所々崩れている。  階段を上りきると同時に強い風が吹いた。なんとなく嫌な風だった。落ち葉が舞い上がり咄嗟に腕で顔を隠す。  恐る恐る目を開ける。目の前に広がる光景に言葉を失った。  「な、にこれ……」  そこは小さな本殿と手水舎だけがある小さな神社だった。  しかし、その本殿の屋根は崩れ落ち、壁はまともな箇所が見当たらないほどにえぐられたような傷が至る所についている。本殿を支えていたはずの柱は折れた後、長い間そのままにされたせいか腐敗がすすみ地面に山積みになって転がっている。  一目見れば誰だってわかるような、半壊状態だった。
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