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「中堂のクラスメイトからここにいると聞いた。ちょっと来い」
険しい顔で私の二の腕を掴んだ賀茂くんは、スタスタと歩き始める。
「えっ、ちょっと、待って。急だよっ」
「良いから来い」
振り返ると篠が顔を真っ赤にして私を睨みつけた。
「待ちなさいよ! まだ話は終わってないんだから!」
「いや、だって賀茂くんが」
板挟みにされてしまい、賀茂くんと篠の顔を交互に見る。
私はどうすればいいの……!
「あっれー、賀茂に葛葉じゃん。何してんの?」
廊下の騒がしさに気が付いたのか、中にいた富岡くんがひょっこりと顔を出す。
「俺は中堂に話がある」
「わ、私だって話が!」
「じゃあみんなで中で話せば?」
きまり、と笑った富岡くんはやや強引に二人の背中を押して部室に招き入れる。助かった、と胸をなでおろした。
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