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「ねえねえ、私たちには聞かせれない話って、もしかして結守神社のこと? 妖の世界で何かあったの?」
詩子が何気なく口にしたその質問に、賀茂くんと篠は目を見開いた。
「な、なんで! あなたっ」
篠が勢いよく立ち上がりわなわな震えながら詩子を指さした。
「だって私たち三門さんから結守神社の裏の社のこと教えてもらったし。この前も幽世にも行ったから、別に隠す必要ないと思うよ」
部屋の隅に座っていた賀茂くんが私の傍に歩み寄り見下ろした。
「中堂、俺や葛葉の正体を話したのか」
「……あ。その、えっと」
詩子の「この場で話しても問題ない」という言葉から、直ぐに自分たちの正体もばれていることに結び付いたらしい。眉間の皺を一層深くして賀茂くんが問いただす。
「ご、ごめんなさい」
うっかりと話してしまったのは事実だし、詩子たちが事情を知っているからといって何でも話していいわけではない。
「謝って済むなら、」
声を張り上げた篠に、反射的に首を竦めたその時、
「ちょいちょい、ストープッ!」
富岡くんが私たちの間に体を滑り込ませた。
「落ち着けよ葛葉。そんなに声を張り上げるもんじゃない」
どうどう、と篠を宥め椅子に座らせると、私に向き直った。
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