伍章 三匹の神使 中編

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 「麻ちゃんが僕にそうしてくれたように、僕も麻ちゃんの助けになりたかった。前に言ったよね、同じだって」  ああ、そうなんだ。  いつの日か、三門さんは私と自分が同じであると言った。  私はそれが「同じような不思議な力を持っている」とか「力のせいで同じような苦しみを経験した」とか、そう言う意味なんだと思っていた。  けれど「同じ」と言ったのは、小さい頃の私がそうしたように、三門さんもまた私を助けようとしてくれたんだ。  「僕にとって麻ちゃんはとても大切な人なんだ。だから僕の目が届かないどこかで、危険な目に会ってほしくない」  三門さんは膝の上の私の手にそっと触れた。ゆっくりと顔をあげると真剣な目と目が合う。  「今までは偶然どうにかなっていたことも、今回ばかりはそういかない。お願いだから。お願いだから、ひとりで突っ走って危険なことに巻き込まれるなんてことにはならないで」  「私、」  「僕が兄さんみたいに強い人だったら、こんなことを頼まなくても麻ちゃんを守れたんだろうけれどね。僕は全然強くないから」
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