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みくりに心当たりがないか聞いてみたけれど「そのうち帰ってくる」とだけ言ってとりあってもらえなかった。
どこに行っちゃったんだろう。
温厚なふくりが声を荒げるのは、仁吉さんに初めてあった時以来だった。何がそんなにもふくりを怒らせたんだろう。
あんな様子を最後に見たからか、どうも少し気がかりだった。
「それにしても、聞いたかい烏天狗殿」
「ああ、何でも人の子が攫われているとか」
三門さんたちを遠巻きに、ひそひそと話す妖たちがいる。
「人の子だけじゃない。最近見かけない妖が多いと思わないかい」
「なんと、まさか」
「ああ恐ろしや恐ろしや。一体何が起きているのやら」
どういうこと……?
人の子だけじゃないって。妖も行方不明になっている子がいるの?
「いやだねえ、しばらくは身を潜めておこう」
「そうだな、それがいい」
そういうと彼らは呼び止める間もなく足早に社を出て行った。
どこか落ち着かない様子の裏の社の夜は更けていった。
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