伍章 三匹の神使 中編

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 「ふくりはあんな石の台の上で毎日眠って辛くないの?」  「慣れれば何とも思わないよ。初めのことはお尻が痛くなって大変だったけれどね」  「神使もお尻が痛くなるんだね」  くすくすと笑えば、ふくりは少しだけ安心したような表情になった。  「そう言えば、もうここに来て半年くらい経つのに、ふくりとこうしてゆっくりおしゃべりするのは初めてだね。せっかくだし、お互いに質問し合おうよ」  頬杖をついてそう言えば、ふくりは「かまわないよ」と優しく目を細める。  じゃあ一つ目、と私は身を乗り出した。  ────好きな食べ物を教えて。私はね、お味噌汁だよ。ふくりは? 私は勿論稲荷コロッケだね。じゃあ、麻の嫌いな食べ物は? 私実はしいたけが食べれないの。 意外だねえ。私はバッタが苦手なんだよ。昔喉に刺さってからは一度も食べていないよ。  顔を見合わせては笑い合い、交代しながら質問を重ねていく。  今まで知らなかったふくりのことが少しずつ分かってきて、なんだか少し嬉しかった。
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