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「ふくりは、意外と泣き虫なんだよなあ。まずはそれをなおさなければ、神使には程遠いんじゃないか」
「余計なお世話だよ。それを言うなら、嘉助だって気の弱い所があるだろう」
「はは、これは痛い所を突かれた」
「気の弱い者は、恐れを知っているものだ。だから慎重に行動することができる。何かに恐れる人々の気持ちを理解することができる」
ほう、と顎に手をやって感心した顔の嘉助。ふくりは首をすくめて「伊三郎の言葉だよ」と苦笑いを浮かべた。
「流石だな。松野本家の人たちは陰の言葉を陽の言葉にするのが得意だと聞いたが、本当のようだ」
「言祝ぎの力を高めると、自然とそうなるらしいよ」
「ふむ。ならば、俺はもっと修練を積まねばならないというわけだな。つらいときは、苦しいという言葉ばかり呟いてしまう」
腕を組んで首を捻った嘉助。
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