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「言いたくなったら別の言葉に置き換えてみたらどうだい。伊三郎の息子も、よくそうして言祝ぎの力を強めるようにしていたよ」
「言い換える? つらい、苦しい、嫌だ、といった言葉を言い換えるのか。そうだな、じゃあ金平糖にしよう」
ふくりは声をあげて笑うと、名案だねと頷いた。
「今日の修練は金平糖だった。毎日毎日、金平糖だ」
「そうだそうだ、金平糖だ」
「伊三郎さまは金平糖過ぎて金平糖になる! ええい、見ていろ。金平糖なんてこうして食ってやる!」
ぼりぼりと金平糖を頬張る嘉助に、ふくりはとうとう堪えきれずにげらげらと笑った。
丁度その時、縁側に通りかかったみくりと仁吉が怪訝な顔でふたりを見た。
「何をしているんだ、お前たち」
「えらい楽しそうやな」
ふくりと嘉助は顔を見合わせてまたげらげらと笑う。
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