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不審に思いながら社頭に出た。その瞬間、むせかえるような血の匂いに顔を顰める。
考える前に走り出した。
社務所を回り本殿の表へと飛び出す。目の前に飛び込んできた光景に息を飲んだ。
本殿を支える柱は真ん中で折れ、建物ごと傾いている。瓦屋根と壁が崩れ落ち、地面は木片で埋め尽くされていた。石畳が敷かれていた地面はえぐられて、その上には血痕があった。
ふくりは血痕に鼻を寄せた。どくり、と心臓が嫌な音を立てている。血を流しながら動いたのだろう、血の跡は本殿の前からどこかへと続いている。
震える足でそのあとを辿る。血の跡は本殿の裏へと続いている。血の匂いが濃くなった。知っている匂いだ。
嘘だ、だってそんなまさか。
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