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「────き、すけ」
冷たい地面に横たわる嘉助。腹と口から血を流し、半開きの目からは光が消えていた。
「あ、あ……」
おぼつかない足取りで歩み寄った。前足で頬に触れる。氷のように冷たかった。
どうして、なぜ。
嘉助はなぜ血を流している? なぜこんなにも冷たいんだ? なぜピクリとも動かない?
「嘉助、どうしたんだい。嘉助ってば」
鼻先を頬に押し当てた。ごろんと首が反対方向に力なく垂れる。
死という言葉が脳裏を過ぎった。青白い肌と光のない目に、生気を感じることができなかった。
息を飲んだその瞬間、背後で砂利を踏む音がした。弾けるように振り返る。狐の姿の仁吉が立っていた。駆け寄ろうとして足を止めた。
「に、仁吉。その血は」
胸から前足にかけて、仁吉の黄土色の毛に赤い血がこびりついている。
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