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「────っ、」
息苦しさに飛び上がるように起きた。首を絞められるような息苦しさだ。喉を押さえながら息をする。頬が涙で濡れている。
久しぶりに妖の夢を見た。ふくりの過去だった。そして私が感じたこの苦しさは、ふくりの苦しさなんだ。
ふくりはずっとこんな苦しさを抱えて過ごしてきたの……? 大切な人を失って、ただ恨んで憎んで、苦しみ続けていたの?
そんなの辛すぎるよ。
穏やかな笑顔の裏で、こんなに身を削る思いをしていたなんて。
「────っ、う、ああ……」
うめき声にはっと我に返った。私の隣で眠っていたふくりが顔を顰めて、呻き声をあげている。
「ふくり、ふくり……!」
背を叩いて名前を呼ぶ。何度か呼びかけると、ふくりははっと目を開いた。
何度か瞬きをして、私を見上げる。
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