伍章 三匹の神使 中編

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 「────ああっ、だめだ。全く捗らない……」  机に向かってテスト勉強のために教科書を開いていた私は、両手を放り出して後ろに倒れ込んだ。  顔の上に腕を乗せて深い息を吐く。  ふくりのこと、神隠し事件のこと、三門さんのこと。考えることが多すぎて、ちっとも数学の公式が頭の中に入って来なかった。週が明けたら中間テストが始まってしまうのに。  箪笥の影に隠れていた家鳴たちがとことこと近付いて来た。遊ぼうよ、と私の髪をつんつんと引っ張る。  「家鳴、痛いよー……今は考え事中だから、またあとでね」  小指を差し出してきた家鳴たちと指切りげんまんをすると、彼らは好物の金平糖を数粒私に差し出すと機嫌よくどこかへ消えていく。  もう一度深く息を吐くと、弾みをつけて立ち上がった。
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