伍章 三匹の神使 中編

73/122
前へ
/507ページ
次へ
 「────おっそ。もうちょっとはよぉに来ると思うてたんやけど」  崩れて低くなった本殿の屋根に腰掛けた、着流し姿の男が目を細めて笑う。 はっと無意識に息が止まる。  あそこに行けばもしかすると。  なんとなくそんな思いで出て来てみたが、予想以上だった。  「……仁吉」  「待ってたで、結守の巫女はん」  不敵に笑う仁吉に、ごくりと唾を飲み込んだ。
/507ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1307人が本棚に入れています
本棚に追加