伍章 三匹の神使 中編

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 「妖は約束を破らへん生き物や。何が何でも約束は守る。それこそ死んでもな。妖と約束を交わすということは、あんたもそれなりの覚悟持ってもらわなあかん」  「……本当に?」  「絶対や。くどいな」  唇をきゅっと結んで顔をあげる。  「……私の名前は、中堂麻。植物の麻」  ほう、と仁吉は目を細めた。  「魔よけの草の名前やな。そう言えば、あんたのオカン、妖のことごっつ嫌いやったな」  「約束は守ったよ」  「そうせかすなや」  次の瞬間、ばっと手をあげ私の頭を掴むように額に触れた。目の前がぐにゃりと歪み、意識が遠のく感覚に襲われる。  「な、にを……」  「口で言うより、見た方が早い。あんた去見(きょけん)の力があるんやろ。さくっと見てき」  ────あんたの知りたがってる、隠された過去の全部や。  その言葉を最後に意識の奥に吸い込まれた。
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