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不器用で才もない。しかし真面目で勤勉、努力を惜しまない人間だった。
親しみやすい性格で、特にふくりに関しては、よくあの男に懐いていた。似ているところがあったのだろう。自分やみくりには言えない悩みも、あの男には話していたらしい。
ふくりが自分たちに対して劣等感を抱いていることは分かっていた。張本人である自分たちがそこに触れていいのか分からずにいた頃に、丁度気持ちを吐露できる相手ができ、少しだけ安心もしていた。
やがて社へくる妖たちもあいつを受け入れ、先代もやっと休めるようになった。
全てが上手くいっているはずなのに、なぜか落ち着かない。時折ふと、身震いするほどの嫌な気を感じることが増えた。それはみくりも同じらしい。
先代は大袈裟だと笑ったが、みくりと交代で夜の間は先代のそばに付き添うようにしていた。
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