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「ヒドイ!!」
それからしばらくして、途中退席した結婚式の動画を見せてもらうため佐奈の家へ行って彼と別れたことを話すと、自分のことのように泣いてくれた。
高校時代私が彼に告白される様子を教室から覗き見していた彼女は、なんと私の返事を一樹くんと賭けの対象にしていたらしい。
「あ、それでか」
「何が?」
彼女が思い出したように呟いた。
「新婚旅行から帰って来て、私たちの担当してくれたウェディングプランナーさんにお礼を兼ねてお土産を渡しに行ったの。そしたらブーケを受け取ったご友人はお元気ですか?って聞かれて。銀縁眼鏡の人で、山田さんって言うんだけど覚えてる?」
「名前は知らないけど、覚えてるよ。切れ長の目が冷たそうに見えたけど、優しい人だった」
あの時言われた言葉を思い出して胸が温かくなると、佐奈がニンマリ笑う。
「何か言いたそうにしてるのになかなか言わないから無理やり聞き出したんだけど、もし佐奈さんから見て俺が彼女に相応しいと思うなら渡してほしいって連絡先を預かってるんだ。仕事用とは別のプライベートの番号みたいだよ」
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