計算できない恋がある

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このまま甘えに甘やかしたままじゃダメだ、と遠距離になってからは駆け引きもした。 サークルの飲み会中に着信があればわざと女の子がいるところで出て不安を煽ったし、それで彼女が俺に執着してくれればいいとも思った。 幸い彼女は女子短大に通いバイトもケーキ屋さんという比較的女子ばかりの環境にいて、紹介でもしてもらわない限り他の男と出会う可能性は低かった。 それでも気持ちが離れていかないように夜中に寂しいと言われれば何とかして帰る努力をしたし、ヒッチハイクをして会いに来た俺に流石の彼女も自分が本当に愛されているんだと感じたようで遠距離でも関係が安定し始めた。 俺の腰に抱きついたまま眠りについた佐奈をお姫様抱っこで寝室に運ぶ。 メイクはしたままだし、髪もセットされたままで、寝てもあと数時間で起きて空港に向かわなければいけないのだけれど、彼女の寝顔を見ながらずっと俺だけのものでいてくれますようにと願った。 fin.
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