寂しさから求めたモノ

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選ぶ以前にそれをどうやって探すことが問題だ。 私はそのモノを持つ男と結婚をしたくなければ、恋人にもなりたくない。 男は不必要なものとして、今まで生きてきた。だから、恋人はいないし、いたこともなかったし、もちろん24才になる今日まで処女である。 男が嫌いというわけではない。ただ興味がないだけ。 物心がついたときから、母と二人だけで生きてきた。だから、子供は父親がいなくても育つものと思っている。実際、私がそうやって育ってきたから、立証できる。 父親のいる家庭を羨ましいとも思わなかったし、憧れもしなかった。 そんなわけで欲しいモノ、必要なモノは良質な遺伝子がある精子だけだ。 「はあ?精子が欲しい?ちょっと、小夏、何を言っているのよ、本気?」 大きな声を出し、呆れたように溜め息をついたのは、高校時代からの親友である中林秋絵(なかばやしあきえ)。 私たちは、二人とも名前に季節が入っていることをきっかけに話してから、仲良くなった。秋絵は、一人暮らしになった私を気にかけてくれていて、時々遊びに来てくれる。
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