307人が本棚に入れています
本棚に追加
えっ、今のドキンって何?
初めての感覚に動揺する。
ズンの次はドキン?
またもや正体不明な感覚に体が固まる。
「どうした?そこ、痛むのか?」
動かない私を心配したのか、松野兄が顔を覗き込んできた。そこ、と指さされた場所は心臓のそばで、私の左手はその上にあった。
無意識にドキンと跳ねた部分に左手を置いていたことに、言われて気付く。自分のことなのによく分からない。
痛むというか、熱くなるというか、この感覚はなんだろう。初めての感覚の答えを早急に知りたいけど、松野兄には訊けない。
「いえ、何でもないです」
「じゃあ、帰ろう。送るよ」
「いいえ、結構です。松野さんの家はこの近くではないですよね?」
前にもこの近くで偶然会って、食事に行ったが、一樹からの情報では松野兄の住んでいるマンションはこの駅から3駅先の駅近くにあるということだ。
それなのに、今夜もこうやって現れるなんて、不自然だ。
「ん?この辺ではないけど、路線は同じだからすんなり来れる。小夏に会いたいから、来ただけだ。気にするなよ。ほら、帰るぞ」
最初のコメントを投稿しよう!