嫌いなモノ

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しかし、段々とまで行く前に解放される。 「あ……」 「ふっ。なんだよ?離れた瞬間、物足りないような顔して。もっとしてあげようか?」 「えっ?そんな顔してないっば。見ないでください」 思いもよらないことを言われ、顔が熱くなった。きっと、私の顔は真っ赤だ。巻かれているマフラーに顔を隠すため埋めた。 軽くポンポンと頭を叩かれ「帰ろう」とまた手が繋がる。どこを向いたらいいのか分からなくて、俯いて歩いた。こんな気分になったのは、初めてだった。 「ええっ!どんな気分になったって?」 「ちょっと、痛いってば……」 翌日の夜、園子さんの小料理屋で、秋絵が肩に手を置いて、強く握る。最近初めての経験する感覚が多くて、経験豊富な秋絵を頼りにしている。 それで、今夜も教えてもらおうと話したのだけど、ニヤニヤと嫌な笑い方で、肩を掴まれた。 「なんか高揚する気分というか、冷静でいられなくなるというか……」 「ふうん、なるほどね。小夏に冷静さを失わせるなんて、ただ者じゃないわねー。なかなかやるじゃない」
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