嫌いなモノ

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今夜の服装はグレーのシャツに黒いカーディガン、それとボトムスはベージュのチノパン。全体的に優しい雰囲気で、聖斗くんによく似合ってはいるけど、サラリーマンはしない服装だ。 一度帰って着替えてから来たのかもしれないけど、職業が気になる。 訊いてみたいけど、今は秋絵の質問に答えるのが先だ。松野兄のことなんか知りたくもないが、 「兄は、優しいですよ。年が5つ離れているからか、子供の頃からいろいろと面倒を見てくれるし、頭がよくて、かっこいいので尊敬しているし、自慢の兄です」 「自慢のお兄さんかー。私もぜひお会いしてみたいな。ねえ、お兄さんも明日、一緒に話すのでしょ?私も入っていいかな?」 「えっ?兄が一緒に?」 聖斗くんは、目を丸くして飲もうとしていたビールのジョッキを置く。松野兄が同席することを聞いていなかったようだ。 「お兄さんから聞いてない?」 「はい。兄とはこの前、小夏さんのことで久しぶりに連絡を取ったのだけど、その時に話しただけです」 久しぶりにって……年が少し離れているとはいえ、兄弟なのに。大人になると、そんなに連絡を取らないものなのかな。男同士だからかな。
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