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野太い声で言い、ぬっとダグラスの背後に立ったのは髭面の大男。
うわ! もっとややこしい人が来た!
シルヴェスは心の中で頭を抱えた。
「もしかして、自警団の団長……?」
サイベルは呆然とした表情でワーグの巨体を見上げる。
「どうして、あなたたち二人が……?」
信じられないという口調で問うた。ダグラスはジャックを小脇に抱え、反対の手で杖をサイベルの鼻先に突き付けて答える。
「私たちは和解したんだよ。サイベル君。どうだい? これを見ても、君は我々の目標が夢物語だと言うのかい?」
ダグラスがサイベルに詰め寄った。
「…………」
サイベルは言葉を失い、ワーグとダグラスの顔を交互に見比べる。ジャックが不満げな声を上げ、ダグラスの腕から逃れて走り去った。窓の外から微かに鐘の音が聞こえる。
それから、サイベルはぽつりと、
「……いいえ」
と呟いた。しかし、その声は突然沸き起こったカウントダウンに掻き消されてしまう。
「ごー、よーん、さーん、にー、いーち!」
店内のお客が声を揃えて叫んだ。
「ハッピーニューイヤー!」
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