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憧れの入団式(ジェイソン)
四月、待ちに待った瞬間をジェイソンは真新しい制服姿で迎えた。
城の大広間に集められた総勢百五十人の新人騎士が、割り振られた兵府ごとに整列している。ジェイソンは騎兵府の前から二番目に立っていた。
皇帝カール四世が言葉を述べるその隣に、式典用の白い制服を着たオスカルがいる。キリッとした視線や表情は家族に見せるものとは全く違って、別人に見えてくる。そしてかっこいい。
一段下がった所には、各兵府の団長がやはり式典用の白い制服で立っている。中でもファウストと、その隣に立つ暗府団長クラウルは迫力がある。
一転、端のほうにいるエリオットは穏やかで優しい視線を皆に向けている。遠目で見ても優しい義兄も、ジェイソンにとっては誇らしい人の一人だ。
「これより、剣の授与式を行う。各兵府の主席、次席は前へ」
「「はい!」」
ジェイソンの前にいる金髪の青年が動き、続いてジェイソンも動く。ジェイソンは今期の騎兵府の試験で、優秀な成績を収めて見事式典での剣の下賜を受ける事となったのだ。
各兵府から二名が出て、それぞれの団長の前に膝を折って手を前に平行に出す。ジェイソンの前にはファウストが立っていた。
まずは主席の金髪の青年が剣を下賜される。続いてジェイソンが。手にずっしりと乗った剣の重みは、決して物理的な重みだけじゃないはずだ。
この日から、ジェイソンは帝国騎士団の一員になった。華々しい日々が始まるんだ!
そう思って疑わなかったのだが、現実はちょっと違っていた。
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