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5時くらいになると先生に注意されるので、注意される前に下校する。
このくらいの時間になると少年サッカーをしてる人達が練習をしている。別にプロに成れると限らないのになぜ一生懸命に練習するのかわからない。
夢なんて持ってもいつかは裏切られる。どれだけ頑張っても、どれだけ信じても、どれだけ叶えようとしても、必ず裏切られる。ソースは俺。
……嫌なことを考えてしまった。
歩く速度を少し速め、家へと向かう。
集合住宅地からほんの少し離れた場所に俺の家はある。普通よりかは大きな家だ。
門を通り、ドアを開ける。
「ただいま」
…………………。
何も、誰からも返事がなく改めて自分が誰から愛されてもいないことを実感する。
小さい頃から暴力ばかり振るってその度に母親と父親が相手の家へと向かい、謝罪をする。そのうちに俺を忌み嫌うようになったのか、今となっては俺のことをまともに相手してくれなくなった。
今は、父親は仕事をしており、母親はどこかに行っている。二人とも深夜に帰ってくるので、晩御飯は簡単なものを自分で作るか、買ってくるかのどちらかだ。
休みの日なら何かしてくれるだろうと思っていたが、その日も二人ともどこかへ行っている。もちろん、お盆や正月も例外ではない。
それでも俺は両親を愛していた。
ほんのすこしのすきを見つけては何度も話しかけた。何度も手紙を書いた。何度もご飯を作って、食べてもらおうとした。いつか自分に返ってくると信じて。
けれど、どれもが無視され続けた…。
これ以上を思い出そうとすることを脳がやめろと言う。俺はそれに従い、変わらない1日を過ごした。
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