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何発殴られただろうか。途中から数えるのをやめてしまった。
すると、たまたま通りかかったのか、誰かが読んできたのか先生が止めに入る。
「こらぁ!!今すぐにやめろッ!!」
先生は男子4人を叱りつける。もしかしたら俺も入ってるかもしれないが。
先生の声で男子らは俺から数歩離れ、また固まりを作り俺を指差す。
「こいつから先に殴り始めました〜」
「は?」
思わず出てしまった拳が、悠野の机の天板を殴ってしまう。それの机を見ると少し、ヒビが入っていた。視界端でギャラリー供が若干後ずさりするのが見えた。
「やっぱり、お前か!!」
先生は声を荒げ俺を怒鳴りつける。
その言葉を聞いた瞬間、喉の奥の方が痛くなった。
「そうですよ、俺が先に殴ったんですよ」
俺が開き直って堂々と嘘をつく。すると先生よりも早くに、大きな声を出す者が現れる。
「ち、違いますっ。先に殴ったのはシュー君じゃないですっ!…シュー君はわたしを『助けて』くれたんですッ!」
恩返しとでも言うのか。誤解を解こうと悠野が必死に弁明する。
先生はこちらを向き、さっきよりも落ち着いた声音でこう問いかけてくる。
「なんでさっき嘘をついたんだ?」
その言葉で俺の中のナニかが切れた。
「だって…だって……だってッ!暴力装置って呼ばれてるんですよ!!?こうしないと俺らしくないじゃないですか!!?俺はただ…!もっと親に愛されたかったんです!でもっ!どれだけ頑張ってもどうしても!親には愛されなかったんです!!…なら……ならぁ!!良い奴でいる意味がないって!とことんまで悪い奴になってやろうって!!そう思ったんですよ!!!」
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