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なんとなく会話の終わらせ方がわからなかったので、私は手に持っていたお土産の焼き鳥を、その男に差し出した。
「‥‥なに‥‥?」
「あげる。お腹空いてると、考え方もどんどんネガティブになるよ。何か考えるなら、お腹いっぱいにしてよく寝てからにしたら?」
男は、ガサガサとプラスチックのパックを開けると、きらきらと目を輝かせて焼き鳥を見つめた。
そして、私と焼き鳥を何度か見比べて、そっと私にパックを差し出してきた。
「‥‥はんぶんこ、しよ‥‥?」
「えっ‥‥いやでも、私はさっき食べたから、いいよ」
あんまり長話したくないし‥‥と思いつつ、そう断ると、男はまた俯いて、ふるふると肩を震わせ始めた。
「‥‥そうだよね‥‥ぼくとなんて一緒に食べたくないよね‥‥せっかくの焼き鳥がまずくなっちゃうよね‥‥ぼくはやっぱり、食べ物すらまずくしてしまう有害な存在なんだ‥‥うっ、ひっく、うぅっ‥‥うわ―――――ん!!!」
「ああああ、わかった、一緒に食べる、食べるから!!!」
ホントにめんどくさい子だな‥‥!と思いつつ、「さすがにゴミ箱の近くでは食べたくないから!」と、その男を立たせ、二人で近所の公園に向かった。
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