Eraser

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Eraser

 私は傷ついている。そして、深く落ち込んでいる。その理由は明白だ。  私は趣味で携帯小説を書いている。別に、職業作家になってやろうなんていう夢や野望を持っている訳ではない。あくまでも、趣味の一つとしての話だ。  趣味とはいえ、誰かに評価されるのはとても嬉しいことだ。自分の書いた作品が良い評価を受けると、天に舞い上がりそうなほど嬉しくなる。逆に、評価してもらえないと、地の底の底の方まで落ちてゆくような気になる。  私が携帯小説を書いているサイトはエブリスタという。エブリスタの中では、『三行から参加できる超・妄想コンテスト』と題して、月に二回ほど、短編小説のコンテストが行われている。  この、超・妄想コンテストでは、大賞、準大賞、入賞各1作品に加えて、佳作と優秀作品が数作品ずつ選ばれる。応募者は、これらに選ばれることを目指して作品を執筆し、応募する。そして、私もそんな応募者の中の一人というわけだ。  とはいっても、何百という応募作品から数少ない賞に選ばれるのが、如何に狭き門であるかなんて私もわかっているし、自分がそれほど優秀な書き手でないことも理解している。それでも、過去に2回ほど優秀作品に選ばれたことがある。
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