へっぽこ勇者は、最初の街から出られない

②職業を決めよう！

勇者Ryo。
年齢、32歳。職業はダンサーだ。
HP40 MP10
運の良さ50、素早さ30、強さ10 賢さ10。

…要するに、『運頼みの体力馬鹿』だ。
何故、そんなパラメータで冒険を始めてしまったのか、理解に苦しむ。

城から出るには、先(ま)ず、城門を守る門番に、『通行証』を見せなくてはならないのだが…何しろ『賢さ10』なので、『通行証』を入手する事すら儘(まま)ならない。

勇者Ryoは、早くも追い詰められていた。
モンスターと遭遇さえしていないのに、自身のへっぽこ体質が災いして、難儀している。

まず、開けなくても良い扉を開けて、毒を受けてしまった。歩く度に毒に侵され、早くもHP10という危機的状況にある。

なのに次々に扉を開けて動き回り、女物の衣装や、何に使うのか解らない『髪飾り』を入手した。

せめて、『毒消し草』を入手したいところだが、アホなので本来の目的を外れ、女風呂を覗いて水を掛けられたりしている。

『賢さ10』の実力は、伊達ではない。