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⑤仲間を見付けよう
やっと城から出る気になった、勇者Ryo。
王様から教えられた通りに、門番に通行証を見せれば、意外とあっさり通行許可が降りる。
これでやっと、城と町を自由に行き来する事が出来るのだ!ホッとした途端、ある疑問が脳裏を掠める。
城へ入る時は、王様の使者が迎えに来てくれたので、通行証など要らなかった。なのに何故、城から出る時は、許可申請が必要なのだろう?
王様の都合で呼び出されたにも関わらず、城を出る時は、送ってもくれない。その上、自分で許可申請をしろという…
まるで、体の良いキャッチバーだ。
何やら釈然としないまま、勇者Ryoは、初めて城下の街へ向かった。
賑やかである。
人が沢山いる。
この中から、一緒に冒険をしてくれる『仲間』を探さねばならない。
勇者Ryoは、やや面倒になっていた。
良く考えれば、何故、平凡な商人の息子の自分が、町の人々の為に、魔王と戦わねばならないのだろう…?
それは最早、物語の根幹を揺るがす命題であった。…しかし、『賢さ10』の勇者Ryoには、それ以上難しい事を考える力が無い。
思考する事を諦めた勇者Ryoは、のろのろと町の酒場にやって来た。昼間から、ご機嫌に酔っ払っている有象無象らで、大変に賑わっている。
果たしてこんな場所で、冒険の仲間など、見付かるのだろうか?
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