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そんな神サマより、強い力を持つという神様。
……図り知れなかった。恐怖というより冷や汗が浮かび、怒らせたりでもしたら大変だ、という警戒心しか生まれなかった。
「そ、それで、そのゴッド様が、どうしてこんな場所に?」
『その前に君は、ここがどこだかちゃんと自分で分かってるの?』
言われ、周りを見回してみる。
物はスクリーンしかなく、映画館の椅子やら何やらを全部とっぱらったような印象を受ける、深い闇。どこからどこまでがこの空間で、建物の中なのか、また外なのか全くわからない、予測すらできない、意味不明な空間。
『やっぱり、分かってないようだね。仕方ない、教えてあげようじゃないか。ここは君の頭の中さ』
「――……」
そんな現実味のないこと、急に言われても……いや、目の前にいるのは神様だ。存在自体が現実味はなく、しかもさっき悪魔だという人もいたし、ここは案外、本当のことなのかもしれない。
『さっき、君はあっちの神サマに願いを叶えてもらっただろう。正面に立っている女性の記憶を消してくれ、って。でも、あの神サマ本当はもうちょい力を蓄えなきゃいけなかったんだ。不十分な力を使って叶えた願いは、やはり不十分。記憶を持つ思念体の君は、こうして自分の頭の中に閉じ込められてしまった。出ることはもうできない。あっちにいる君の体は、もうじき目が覚めるだろう。誰の記憶も持っていない、新たな人格が形成されていくというわけさ。
おっと、あっちの神様を責めるなよ。これは君が逃げた、結果なんだから』
――出られ、ない?
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