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『で、決まった?私に叶えてほしいことは』
「え、ええと、こ、ここから出たい、というのは……」
『よしわかった、それにしよう。けど、いくつか予想立ててたんだけど、とってもつまらない答えに行ったね。まあいいんだけど』
神様は、あの時の神サマと同じポーズをした。
手を上げて、僕の頭に焦点を合わせて、息を短く吸い込み、手に力を入れる。そして何か巨大な力の波動を感じたあと――僕は激しい眠気に、襲われた。
「……ゆ、き……神、さま……?」
目を開けると、今度は闇ではなくいつも通りの深紅色の空が目に飛び込んできた。
僕の声を聞き顔を覗き込む神サマに、由姫。男は後ろでクールに腕を組んでいる。
「な、何で……記憶は、ちゃんと……」
「大丈夫ですよ、神サマ。十分もしないうちに、僕の記憶は消えますから」
体を起こす。こんなゴツゴツとした所で寝返りも打たずに横になっていたからか、体中がギシギシと痛んだ。
「ちょ、ちょっと、どういうことなの!?麻耶の記憶がなくなるって、あなた、一体麻耶に何したのよ!?」
神サマに唾をかける由姫の腕を掴み、僕は思い切り引き寄せた。体勢を崩す由姫を受け止め、力強く抱きしめる。
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