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再会
(どうして、こうなったのだろう)
僕は立っていた。
踏み慣れた地面の上で、変わらぬ景色の中に今日とて溶け込み、いつも通りぼーっと何を映しても関心を寄せることのない瞳をどことなく向け、堕落しきった表情をしていた。
道行く人々はそんな僕をいないものとして扱い、幸せそうな顔をして悠々と僕の前を通り過ぎていく。
(僕は……どこにいるのだろう)
居場所ならわかっている。
それなりに大きめの、長い歴史を感じさせる物寂しげな公園。その中の木の一つに、背中を預けているのだ。
地面からの土の固く冷たい感触と、背中を突く幹の仄かな香り。
それらを近くにあるのにどこか遠く感じながら、僕はこの場所に立っていた。
(僕は、どこにいるのだろう)
再度、心の中で呟く。
きっとこの問いに対する答えを持っている人などいないのだろう、と考えながらも、僕は自分自身に問いかけ続ける。
変わらぬ日々。変わらぬ現状。
僕は一人だ。もう十数年も、こうして一人きりだ。
淋しいなんて思わない、だってこれは僕が望んだことだから。
僕はずっと待っていたんだ、突如として離れてしまった恋人を、さよならすら言うことが叶わなかった恋人を、目にする瞬間を。
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