2066人が本棚に入れています
本棚に追加
「長田統括部長は、この間統括部長になった人で、赤石さんをあまりに快くは思ってない様なんだ。この間の新入社員との競わせ合いの様な仕事も部長が絡んでいた。会社から赤石さんを追い出したいんだと思う。
社長は中立、副社長はかつての赤石さんの上司で味方、他にも赤石さんの味方はいるけど、俺は元々、t.a企画寄り…邪魔は邪魔なんだろうな。」
「気に入らないからって…私情で仕事を…。」
秋月の話を聞いて呆然とした。
「赤石さんから聞いた事はなかったのか?」
その様子を見て、秋月は小さな声で聞いた。
「いいえ…。赤石さんは何も…。」
下を向いて答えて、ポケットからスマホを出した。
「電話します。赤石に連絡を…。引き受けた事も話さないと…。」
「あ、あぁ…そうだな。必要なら変わる。それと、澤井…。」
身体を斜めにして座り直し、秋月は秋生のスマホを持つ手を掴んだ。
「…はい?」
「俺の事を考えなくていい。俺はどうとでもなる。無理に引き受けなくても良い。赤石さんが止めろと言ったら、従え。今ならまだ断れる。誰が聞いたって無茶だ。他社の人間がうちの人間を纏めて仕事するなんて…。」
「…ですよね?でも、3日間だけです。秋月さんの代わりを務めるのは。
それに秋月さんの補佐だから、秋月さんじゃなければ断ってました。
補佐…してみたいと思いました。素直に…。じゃあ、電話しますね。」
秋生も少し斜めに座り直す。
背後から秋月が秋生を抱きしめた。
「仕事……叩き込むな?覚悟しろよ?」
「……はい。」
返事をするとパッと離れた。
『もしもし、赤石です。』
スマホから返事が聴こえて、秋生は慌てて声を出した。
「お疲れ様です。澤井です。実は今、長田統括部長に部屋に呼ばれまして…。」
二人が考えていた反応は赤石からはなかった。
秋生も秋月も驚いていた。
最初のコメントを投稿しよう!