エピソード14…秋雷、現在

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慌ててテレビをつけると、台風が1番近付くと言う時間にはまだ余裕があった。 風は確かに然程吹いてはいなくて、強い雨音と稲光と大きな音。 「かず…数、数えよう!ピカッて光った後に数を数えて、ゴロゴロていう音が時間が掛かれば遠くの証拠なんだよ?遠くなら光っても怖くないからね?」 ピカッ!から、 「いち、に、さん。しぃ、ご、ろく…な、な………。」 ゴロゴロゴロ………。 二人で顔を見合わせる。 「秋生…ななはとおいの?」 「五よりは遠い。でも、十まで数えたかったな。」 「もう一回やろ?」 「う、うん…そうだね。」 ピカッ! 「いち、にい、さん、しー、ごっ…。」 ゴロゴロゴロ……ドシャーン! 「秋、秋生!ちかくなってる!」 然を抱きしめながら大丈夫を連呼した。 でも、大丈夫じゃなかった…。 ここから雷は真上でなってませんか?と、聞きたくなるほど、近い音で鳴り出した。 ゴロゴロなんて可愛い音はなく、勿論あるけど…それすら気にならない。 ピシャ〜ン!! ドン!! ドカーン!! 爆弾でも落ちたの?と思うほど大きな音が近くでする。 窓の外はチカッ、チカッとその度に光った。 「あきお〜〜〜。おへそとられちゃう?家、もえちゃう?」 テレビの前で抱きしめ合っていたが顔を伏せたまま、秋生にしがみついて然は震えていた。 「だ、大丈夫だよ…。そりゃ…雷が落ちてぼやとか聞くけど…ぼ、ぼやだし。 あ、然!上から上着、着ようか?」 「暑い!」 「じゃあ、持ってこよ?」 然に言われて火事が怖くなった秋生は、いざという時の為に逃げる準備をしようと思った。 動こうとすると雷が鳴る。 「きゃぁ!」 「いやぁ〜〜!」 「秋生!うごいちゃいや!!」 「だ、大丈夫…。あ、かんちゃん、かんちゃんにいてもらおう?ね?」 二人でズルズルとかんちゃんの写真を取りに行く。 雨戸は台風が来ると聞いて閉めてあったが、窓の近くにかんちゃんがいるので、奪う様に取り、また和室の真ん中に戻る。 その間にも光ればビクッとして、音がすれば悲鳴が上がる。 「か、かんちゃんいるし…ね?」 「かみなり…いつまでなるんだ?」 「こんなに長いのも…近いのも…初めてかもしれない…。きゃぁぁ!」 然に写真を渡して、膝の上に顔を置いた然を上から抱きしめた。 次の瞬間、パッと………電気が消えた。 「嘘………。」 電灯を見上げて呆然とした。
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