2005人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
秋雷〜ハッピーエンド
秋月が忙しくなる前の11月22日。
何故かこの日が良いと秋月に言われて、待ち合わせをして婚姻届を提出する。
10月の後半、両家に挨拶は終えていた。
どちらの家も再婚同士という事もあり、反対はなく喜んでいた。
仕事の合間に来た秋月は汗だくだった。
「大丈夫?」
ハンカチを出して汗を拭いてあげる。
「うん…ごめん、遅れた。」
「そんなことはいいけど…忙しいなら、私一人でも良かったのに…。」
「駄目だよ。秋生は別にいつでもいいしとか言いそうだ。絶対、今日、決めてたんだ…。ほら、俺、バツイチだし…。」
息を切らしながら秋月は話す。
「別に気にしてないよ?それを言い出したら私も子持ちだよ?どうして今日じゃないと駄目なの?」
「どうしても!秋生は然がいてプラスだけど、俺のバツイチは性格に難ありみたいでマイナス!」
(普通は、子供がいたらマイナスになるのよ?)
口角が上がり、秋生は幸せを噛み締めた。
それには気付かず、秋月は話を続けた。
「秋生若いし、うちの石田はまだ狙っているんだ。これでやっと会社に公表出来る。そしたら石田も諦めるだろう。もう、今まで仕事で秋生が来ると心配で心配で……。」
「それ言い出したら…秘書の笹川さんは?誘われたでしょ?知ってますからね〜。彼女、相手にされなくて長田さんに手を貸したんでしょう?」
それを聞いて秋月の顔色が変わる。
「何でそんな事知ってる?」
「ふっふっふ…。私に隠し事出来ると思わない方がいいよ?」
「怖いなぁ…。まぁ、尻に敷かれてる方が家庭円満て、言うらしいからいいか。」
行こうと言われて手を差し出された。
自然にその手を取った。
触れたその手は熱い…そして暖かい。
11月22日…澤井 秋生 25歳
秋月 秋生になりました。
最初のコメントを投稿しよう!