秋雷〜ハッピーエンド

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その夜は智子も呼んでお祝いをした。 「おめでとう!本当に良かった。このまま住んで本当にいいの?」 心配そうに智子が聞いた。 「僕の部屋も同じ様な2DKなので、新しく引っ越すにしても、時間がなくて適当な所で手を打ちたくないですし、どっちかに引っ越すならここの方が然の保育園も変わらなくていいですし、秋生も会社は近いし、智子さんにも然をお願い出来ますし、勝手で申し訳ないですが…。」 「ううん、私は有難いし嬉しいわ。本当に秋月さんはいいの?私が周りをウロウロして…。」 「然のおばあちゃんじゃないですか?来て下さい。母親がもう一人増えたと思いますから…智子さんもそんな感じに思って下されば…。」 智子が嬉しそうに頷く。 「秋月さんね?今、土地を探してるの。」 秋生も笑顔で話す。 「土地?」 「将来的にね?智子さんも一緒に住める様に大きな家を建ててくれるんですって。然には自分の部屋。私が仕事でも然が寂しくない様に番犬も兼ねて犬も飼えるように庭も作るって…。凄い張り切ってて。」 「え?ええ?大変よ?この辺りに土地なんて…。それに私の事なんて…。」 秋生はくすくす笑い、秋月は真面目な顔で答える。 「まだ先ですよ?秋生なんて本気にしてない。まぁ、その資金を少しでも貯める為の節約も兼ねてのここでの生活です。設計図出来たらお見せしますから、陽当たりの良い1階の和室をご用意しますね。その時は、一緒に暮らしてもらえますよね?」 「でも…秋生ちゃんのご両親も秋月さんのご両親もいるのに……。」 「うちは兄夫婦が同居しているし、姉も時々帰ってるから、然だけ時々、顔を出せば良いみたいですよ。」 秋生は笑いながら言い、秋月にビールを注いだ。 「うちも姉夫婦が二世帯住宅を建てて同居してます。僕がいつまでも一人だったので…。智子さんが嫌だと言うなら仕方ないですけど…それでもせめて近くにはいて欲しいかな?」 バタバタと足音がするとランドセルを背負った然が姿を現した。 食べ終えて、飽きて奥の部屋に行っていたのだ。 「智子、見て!りょうに買ってもらった!」 「わぁ、似合うね。小学校、楽しみかな?」 「うん!ほいくえんまでは澤井でいいんだって!小学校から、秋月になるんだよ? 智子!かんちゃんよろこんでるね。」 飛び跳ねて然は言う。 「そうね…。喜んでるわ。」 かんちゃんの写真を見て、智子は涙を流した。
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