エピソード1…秋生

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エピソード1…秋生

毎朝5時半には起きて洗濯機を回し、お弁当を作る。 手抜きは許されない所が辛くもある。 出来るだけ栄養面重視で、カラフル、可愛く…最近はカッコ良く? 意味の分からない注文を受けながら、それに応えようと頑張る。 食事して、後片付けをして自分も支度をして……洗濯物を干して、ばたばたしながら、時には走り、やっと会社に出勤。 家から歩いて30分…。 途中入社の秋生に同期と言える人はいないが、小さな会社はアットホームで、十分過ぎるほど良い環境だった。 自分の後輩と言うと、今年入った河合と一昨年入社の伊藤だけだが、二人とも大卒にも関わらず、秋生を先輩として見てくれて感謝しかない。 秋生の家は父親が高校の教師でお堅い一族。 短大を薦められる中で、専門に行きたいと言い、結果、行けなかったので所謂(いわゆる)、出来損ない…それが秋生の置かれた場所だった。
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