トラブル

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原案を届けてホッとして、今日は早く帰れると帰社する。 「スーパー寄って買いだめして、常備菜作って、今日は好きな物沢山作ってあ……?」 るんるんで帰り仕度をしていたら中川に呼ばれた。 あ…で声が停止して振り返る。 「博報社から連絡!うちの原案、色がおかしいって印刷会社から連絡があったって!確認来てくれって!持って行ったよな?秋月さん、オッケーだよな?」 秋生は真っ青になった。 「申し訳ありません!秋月さん不在で、高田さんに渡しました。 秋月さんに渡してくださると言うので…。秋月さんのオッケーまでは確認していません。」 頭を下げて言う。 「高田?ああ、彼か…。 でも、彼も担当だし…秋月さんに渡すと言ったんだろ?」 「はい!確かに…。」 「おい!ごちゃごちゃ言ってないで、博報社行くぞ!来い!」 佐伯にドアの所で呼ばれて、二人で走って車に乗った。 車の中で佐伯にも報告をする。 「雑誌の宣伝用ポスターと、色が余りに違うから印刷会社がストップ掛けたらしい。どっちが正しいか分からないから両方な?印刷会社としては、正しい方から早く刷りたいから、すぐ確認して間違いなら訂正しないと…。」 「佐伯さん、でも変ですよ?そこまで違う色にはしてない。澤井が色は担当して、こいつの色校の細かさはうちで1番ですよ?」 「分かってる。けど…うちが受けた仕事で間違いが出たら、うちのせいじゃなくても謝るしかないんだよ。そこは、澤井もいいな?」 佐伯に言われて、頷いた。 博報社の制作部の部屋に入ると、部長と書かれた机の前に担当の二人が並んで立っていた。 担当責任者の秋月の姿はなかった。 そこに佐伯は足早に行き、原案を見せてもらった。 中川と秋生は少し離れてそれを見ていた。
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