1:五人の冒険者

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1:五人の冒険者

「そろそろ次の依頼なり迷宮情報なり探さないと、私達日干しになっちゃうよぉ」  そう呟くのは、テーブルに突っ伏したポニーテールの少女アイラであった。年の頃は13、4くらいのちびっ子的な見た目ではあるが、本人は17だと称している。身軽そうな装備から、冒険盗賊といった感じである。 「それはそうですが、そもそも仕事の選り好みをしているのはアイラじゃないですか……」  そう言ったのは、はす向かいに座る青年リーヴェンであった。しっかりした身体付きではあるが、麻布のポンチョに不思議な文様を刻んだ杖、長い黒髪を流すに任せ、顔に少しだけ施されたペイントから見て、未開部族の呪術師のようにも見える。 「俺たちは冒険者としては駆け出しだからな……まずは地道に仕事をこなして、名前を売らなければ何も始まらない……」  戦場で慣らしたと思われる古強者であり、その頃から愛用していたと思われる板金半甲冑に身を包んだ戦士ホゥクンはリーダーらしくそう言って立ち上がり、壁の掲示板に目を向けるも…… 「名前を売るにしても、肝心な仕事がないんじゃあねぇ……」  今のアイラが望んでも手に入らないプロポーションを神官の装束の下に隠し、それでいて酒の注がれた杯を手放さない不届きなハーフエルフ美女ハミルが言うように、掲示板には何も貼られていない。  正確には…… 「まぁ、さっきまでは貼られてはいたのだけどなぁ……」  ホゥクンとともに前衛の要を努め、巨大なハルバードを傍らに立て、典型的な顎髭を自慢げに撫でているドワーフの戦士ボルドに依れば、先刻まではいくつかの依頼が貼られていたのだが…… 「もういい加減、溝さらいとか逃げた猫探しとか、そんな仕事ばかりじゃ嫌になっちゃうよぉ……」  悲鳴のような声を上げるアイラではあるが、そんな仕事でもないよりましである、と他の冒険者が全てを受注してしまったのだ。 「このままじゃ、本当に日干しになってしまいますねぇ……」 「この杯も、安物エールじゃなく、ワインで満たしたいねぇ……」  リーヴェンとハミルの溜め息は、全員の気持ちの代弁とも取れた。
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