3:邪神邂逅

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 いや、正確には一部に違いがある。  それは、手にしている得物が[竜巻を纏わせた魔剣]ではなく、一本の[何の変哲もない鍬]であること――  そして、頭に[手ぬぐいのほっかむり]をしていること――  邪神らしき異形の存在は、5人、そして[召還]した村人に、地の底から響くような声でこう告げた。 「すいません、裏で畑ば耕してました……」  そして、改めて5人に向き直ると、ほっかむりを外して腰を落とし、前屈みの姿勢になると、 「わだすが[ゼルディカーン]ですが、何か御用でしょうか?」  と、これまた外見とは裏腹な口調で話し掛けてきた…… 「いやあ、最初はこげなおっかねぇのが出てきてびっくらこいでよお!?  慌でてイグリの神殿に知らせたけんどよぉ、結局、司教様も来てくんなかったし、どうすべかと思ったら、話ばしてみたら、[いい神様]でよかったよぉ!」  案内をしてくれた村人がそう言いながら[邪神]の腰をぽんぽんと叩くと、ゼルディカーンを名乗るその存在は、恥ずかしそうに頭を掻いた。  そんな光景に、五人は呆気にとられる以外の行動を選択することが出来ないでいた……
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