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4:暴風神の真実
「ゼルどーん!」
「ゼルどん遊んでー!」
まとわりつく子ども達に、牙を剥き出しにした口でにんまりと笑うゼルディカーンは、
「今日もみんな、めんこくて元気だなぁ!」
と、その太い腕に子ども達をぶら下げ、自らを遊具代わりしてに遊ばせていた。
時折、活発な男の子が角を掴んで頭によじ登るも、
「ほれほれ、落ちたら怪我をしてしまうでねぇか」
と、気を使うだけで怒ることもない。
やがて夕陽がいよいよ山の裏側に沈む頃になり、暴風神は子ども達に帰るように促すが、
「やだいやだい、もっと遊ぶんだい」
「駄々を捏ねると、食べちゃうぞぉ!」
そう言って大きく牙を見せるように口を開くが、子ども達は笑いながら逃げていくだけである。
「じゃあ、また明日遊ぼうねぇ!」
そう言って帰る子ども達を見送るゼルディカーンの傍に、今度は年配の夫人がやってきた。
「ゼルどん、これ、オラが畑で取れた大根だぁ……[供物]にやっから」
「こげな立派なもの、御利益もねぇ神様に、勿体ねぇ……」
笑みを浮かべ、手を合わせながら礼を述べ、大根を受け取ったゼルディカーンだが、その後、社から包みを持ち出し、夫人に手渡す。
「こんれ、お返しのネギです……今日、採れ立てですだ」
「あんれまぁ、これは有り難ぇ[御利益]だぁ!」
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