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―――キーンコーンカーンコーン。
考えをかき消すように、チャイムの音が鳴り響いた。
彼女は来ていない。ほとんど遅刻することはないから、今日は休みなのかもしれない。
こんなことなら無理してまで学校に来ず、自分も大人しく休んでおけばよかったと、がっくりしながら窓際に一瞬目を向けた。
窓際の一番後ろ。彼女の席がある場所だ。
他のクラスメートに悟られぬように一瞬だけ目を向け、すぐに戻す。
と、何か大きな違和感が僕を襲った。
その正体を探るように、再び目線を窓際に向ける。
「……え?」
思わず、小さく声を漏らしてしまった。
違和感の正体がそこにはあった。いや、この場合、『無かった』というのが正解かもしれない。
窓際の一番後ろ。
そこには彼女の姿どころか、彼女の席すら無かった―――。
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