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特等席だというバルコニーはカイトの部屋のものだった。
城の上層からは祭り会場もよく見える。
これだけの人混みでよくカイトに会えたな。
カイト「アレン、ありがとう」
テーブルセットはあったものの、椅子が足りなかった為、準備してくれたようだ。
にしても動きが早い。
カイトが礼を言い、一礼したと思ったらもういなかった。
城には不釣り合いなラムネ瓶が並べられている。
遠く響くカウントダウンと喧騒を聞きながらラムネを開ければ、夜空に数多の大輪が花開いた。
ルイス「和国の花火はさすが、綺麗だねー!」
湊「そうだな」
都会の空は空気がここまで澄んでいないし、
大きな建物ばかりで近くなければなかなか見られない。
でも、それはウィスタリアも同じだ。
ルイス「やっぱりこのぐらい、色づいてた方がいいよね」
カイト「ウィスタリアの花火は単色ですからね」
湊「単色なのか?」
ルイス「湊はまだ、ウィスタリアの花火、見たことないもんね」
カイト「花火の色つけ技術は、和国独自のものなんだ。これに関しては、誰も他所に教えたがらないから。花火師内でも、色つけ工程の人しか知らない」
湊「そうか。勿体無い気もするな」
けど、色無しの花火も見てみたい。
ある種綺麗だろうな。
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